英語では語彙が大切とは、よく言われますよね。
語彙が、英語力を支える大切な要素だということは、わたし自身もいつも実感しています。
そこで、今回は、
について、ご説明したいと思います。
この記事はこんな方におすすめ:
- ボキャブラリーってなぜそんなに大切なの?
- 効率的に増やすためのポイントを知りたい
こんな人が書いてます
ルー
- 英語好きが高じて、留学なしで高校で英検1級を取得
- 英語で仕事して10年以上
目次
英語ではボキャブラリーを増やすのが最優先な理由
まず、なぜ英語で語彙を増やすことを最優先にした方がいいのか、理由をご説明します。
1: 単語は言葉の最小構成要素
一つめの理由が、単語は、言葉の中で、意味を持つ一番小さい構成要素だという点です。
ですので、基本的な単語を知らないと、何もわからないということになります。
逆に、たとえば、まったく学んだことがない外国語でも、単語がいくつかわかれば、最低限、何について話しているかは推測できますよね。
ですので、英語がわかるようになるためには、まずは、基本的な単語を増やすことが大切です。
逆に、基本的な単語さえわかっていれば、ある程度文脈から推測することや、わからない単語があっても全体の意味をつかむことができるようになります。
2: リーディング力だけでなくリスニング力も上がる
また単語がわかるとリーディング力が上がるというのはよく聞くことだと思いますが、単語力はリスニング力の要でもあります。
知っている単語が多いほど、単語と単語の切れ目がわかりやすくなるからです。
逆に、単語を知らないと、そもそも単語を拾うことができないので、音がどこで切れているかがわからず、英文の構成を理解することも難しくなります。
また、こちらの研究では、大人が外国語として英語を学ぶ場合も、学習の初期段階で語彙数が多いほど、母音などの音を聞き分けやすかったという研究結果が紹介されています。
このように、単語力は、リーディング力とリスニング力という2つのインプットスキルにとって、基礎となる大切な役割を担っています。
3: その後のインプット学習の効果を上げる
三つめの理由が、上記のように、インプットのスキルを上げることができるので、英語のコンテンツに触れる学習(文章を読んだり聞いたり)をしたときの学習効果も上がりやすいという点です。
インプット学習がスムーズになるうえに、文脈の中であらためて単語に触れることで、単語が記憶に定着するという効果もあります。
たとえば、本サイトでは、以下記事でも書いているように、耳から英語のコンテンツをたくさんインプットする学習をメインに進めていく方法をおすすめしています。
【本気で英語を身につける】4つのポイントを押さえた学習の方法
ここでも、基本的な単語を増やしておくことで、耳からのインプット学習で入ってきたフレーズや文章が頭に残りやすいという効果が得られます。
以上、英語学習において、語彙を増やすことを優先させるべき理由をご説明しました。
英語のボキャブラリーを増やすのに大切なポイント
ただ、一口に語彙を増やすといっても、押さえるべきポイントを知っておくことで、効果を最大限にアップさせつつ効率よく増やすことができます。
以下、語彙を増やすときに大切なポイントをご説明します。
1: 基本単語から覚える
まずは、基本単語から覚えるということがポイントです。
というのも、英語は、以下のとおり、頻出の基本単語だけで、かなりの割合がカバーできる言語だからです。
Vocabulary size | Text coverage |
---|---|
1000 | 72.0% |
2000 | 79.7% |
3000 | 84.0% |
4000 | 86.8% |
5000 | 88.7% |
6000 | 89.9% |
15,851 | 97.8% |
Table 1: Vocabulary size and text coverage in the Brown corpus
ですので、同じ1,000語を覚えるのであれば、最も頻出のものから覚える方が学習を効率よく進めることができます。
なお、上記の表は、「lemma」という、複数形・三単現・過去形なども含めて1語とする数え方の単位で測定したものになります。
他にも、もう少し広めをカバーして1語とするword familyという単位もあり、同じ100語でも、
word familyの100語 > lemmaの100語 > 単語100個
という感じで、カバーする範囲が違ってきます。
以下のように、自分の語彙力をチェックできるサイトもありますので、活用してみてもいいと思います。
Word Familyベース:
VocabularySize.comでは、自分が知っていると想定されるWord Familyの数をチェックできます。
単語ベース:
Test Your Vocabでは、自分が知っていると想定される単語の数をチェックできます。
なお、Test Your Vocabでは、以下のとおり、lemmaやword familyではなく、ワードベースで測定しているようですので、lemmaベースよりは多めに出るのではないかと思います。
So, we stick to just measuring the number of words which people simply know one definition for.
Test your vocab: the nitty-gritty details ”What is a word?”
2: 音がわかる状態・イメージと結びついた状態で覚える
次に大切なのが、単語を覚えるときに、
- 音がわかる
- イメージと結びついている
という状態で覚えることです。
音がわかる単語は、リスニングやスピーキングでも使える言葉になります。
また、イメージと結びつけることで、単語暗記の負荷を低くするのと同時に、英語とイメージを直接結びつける練習にもなります。
このあたりについては、以下の記事にも書いていますので、あわせてチェックしてみてください。
【英単語の効率的な覚え方】短期集中で語彙を増やすポイント4つ
なお、もし、単語量はある程度あるのに音が聴き取れないという場合は、ディクテーションなどで集中的にリスニング練習をすることで、あらためて「音がわかる単語」としてインプットしなおしていくのもおすすめです。
【英語のリスニングができない!】理由4つと弱点克服ロードマップ
3: 単語単体だけでなく、文脈の中でも触れられる時間を作る
また、単語単体だけでなく、文脈の中で単語に触れられる時間を作るのもポイントです。
例文を読むのもいいですし、特におすすめしたいのは、英語のコンテンツに触れる時間をしっかり作っていくことです。
特に上記2のポイントも踏まえ、音で単語を聴けるようにするために、耳で聴けて目でも文字を読める教材を使って、耳から英語コンテンツをインプットをする時間をしっかりとることがおすすめです。
特に、基本単語は、英語コンテンツに触れる中でも、何度も何度も繰り返し触れることになります。
そうすると、文脈や感情と一緒に単語が頭の中に入ってきますし、その単語がどんな単語と合わせて使われるのかというコロケーションも学ぶことができます。
4: アウトプットで定着させる
最後に、インプットだけでなくアウトプット練習も一緒にすることで定着させましょう。
アウトプット練習というと、一般的なのが英会話や英作文ですが、本サイトでは、ゼロから英作文する作業だけでなく、単語を音読する、例文を音読する、シャドーイングをする、なども自分の口で発するという意味で、アウトプット練習にカウントしています。
自分で言っているつもりになりながら、自分の口で発音することによって、単語が単なる知識ではなく言葉として定着します。
このように文脈の中でインプットしたり、発音するアウトプット練習をしたりして定着させた言葉が、実際に自分で英作文をするときに使える言葉になっていくというイメージです。
さらに、こうした「ゼロから英文を作るアウトプット練習」で何度か使ってみることで、自分が自然に使える単語として完全に定着していきます。

ですので、単語を「自分が使えるボキャブラリー」として定着させるために、インプットだけでなく、アウトプット練習も組み合わせることがおすすめです。
以上、ボキャブラリーを増やすときに押さえておくべきポイントをご紹介しました。
英語のボキャブラリーを増やす具体的な方法
それでは、具体的な方法を、基本編(基本単語を覚えるまで)と、応用編(それ以降)に分けてご説明します。
1: 基本編(まずは基本単語3,000語)
まず、基本単語を覚えていない場合は、コンテンツに触れるインプットの中で自然に単語を増やすだけでなく、別途、単語を集中的に暗記する時間もとる方が効率がいいと思います。
ですので、単語を暗記する時間をとりつつ、コンテンツのインプットとアウトプット練習をしていくという流れをおすすめします。
暗記用に使うツールは何でもいいですが、市販の単語帳や、自作のフラッシュカード、公開されている単語リストを加工したものなど、自分がやりやすいものを選んでみてください。
ルー
以下の記事の「補足:基本単語を確認できるリソース」というセクションでは、基本単語のリストを閲覧できるウェブサイトをいくつかご紹介しています。
【英語の語彙数ってどれぐらい必要?】レベル別語彙数と学習方法を紹介
Oxford Leaner’s Dictionary(Oxford 3000)やOxford American Dictionary(The Oxford 3000)、Merriam-Webster Learner’s Dictionary(3,000 Core Vocabulary Words)などのリストには音声がついています。
Merriam Websterはカテゴリーごとに単語のリストがある点がポイントです。Oxfrodはダウンロードもできるので、加工してスプレッドシートなどで単語リストを作って覚えていってもいいかもしれません。
Oxford 3,000にはアプリもあります。
また、New General Service List Projectでは、メニューの「NGSL Tools」から、QuizletやMemrizeなどのプラットフォームに作られたNGSL(基本2,800語)のフラッシュカードなどにもアクセスできます。
暗記のスケジュール感としては、毎日数個などの少量ずつ覚えていく方法は、数日で忘れるので暗記効率が悪くなります。
それよりも、1回にある程度の量をまとめて回し、それを何度も繰り返す方法がおすすめです。
たとえば1日目に100単語~300単語、場合によっては500単語程度回します。
なお、「回す」というのは、
- 単語を目で読む
- 音読する
- 意味を確認する
- 意味をざっくりとイメージする
をそれぞれの単語についてやるイメージです。
そして、これを何度か繰り返すことで、短いスパンで復習をし、定着しやすくします。
また、上記でもご紹介したように、並行して、英語コンテンツに触れるインプットの時間も作っていきましょう。
ここで文脈の中で出てきた単語は、単なる暗記した知識ではなく、聴けばわかる「言葉」として定着していきます。
教材としては、以下の記事で、耳で聴けて文字も読めるものを中心にご紹介していますので、自分のレベルにあったもの、プラス、ネイティブ向けのコンテンツにも触れていきましょう。
【楽しく英語のリスニング力をアップ!】おすすめ教材を一挙紹介
英語の音に慣れつつ、覚えた単語が実際に使われている例に出会うことが目的です。
なお、このときにもわからない単語に出会うと思いますので、意味を調べていきましょう。
使う辞書としては、ボキャビル目的に意外と使えるのが英英辞典です。
【英英辞典のメリットと使い方】学習者向け英英辞典6冊の特徴も紹介
定義するのに使われている単語の数が3,000語程度に絞られているので、定義を読む過程で、基本単語が定着するという効果が期待できます。
ルー
また、上記記事では紹介していませんが、Learn These Words Firstは、Lesson1〜12に記載の360語だけで、その他の基本用語が説明されており、特にビギナーにおすすめなオンライン英英辞典です(使い方のページはこちら)。
自分のレベルに合った学習教材を使うときは、わからない単語を都度調べていくのも単語力アップになります。
一方、ネイティブ向けコンテンツに触れるときは、全部を調べるのではなく、「何度も出てきて気になる!」というものだけを中心に調べていく感じで十分だと思います。
このときに出会った新しい単語については、多すぎるので、特に単語帳を作る必要はないかなと思います(手間なので)。
ルー
ただ、以下の記事の「VODで動画を観る時のポイント」の2つめでもご紹介しているように、単語単体ではなく気になったフレーズをメモしておくのはおすすめです。
【英語を動画で勉強する】VODを使うメリットと効果アップのコツを紹介
フレーズをメモしておくと、文脈の中で単語を使う感覚がつかみやすくなります。
基本単語を覚える段階のアウトプットとしては、例文の音読やシャドーイングなど、自分で発音する練習を中心にするのがおすすめです。
【英語のシャドーイングのやり方】学習歴20年がレベル別に紹介
ルー
2: 応用編
次に、基本単語はだいたい覚えた後の、応用編です。
この場合、
- 必要に応じてプラスアルファの単語や、語源の知識などを覚える
- とにかくインプットを増やしながら、わからない単語をピックアップする
- ゼロから作文するアウトプット練習を増やす
という方向で進めるのがおすすめです。
なお、プラスアルファの単語のイメージとしては、Oxford 5000(Oxford 3000を除いたリストもフィルターで選べます。)や、NGSL2,800語の次に覚えることを推奨されているビジネス単語(BSL 1700語)、アカデミック単語(NAWL 960語)、TOEIC単語(TWL 1200語)などのイメージです。
また、接頭語・接尾語や、語源などの基本的な知識を知っていると、言葉を覚えやすく忘れにくくなり、知らない単語も推測しやすくなるので、一通りの知識を得ておくのもおすすめです。
英語の接頭語と接尾語を意識して効率的に語彙を増やそう!
インプットとしては、ネイティブ向けのコンテンツを中心に使い、その中で出会った言葉を調べたり、自分でリピートしてみたりして定着させていきましょう。
知らない語彙の方が少ない状態になると、英語コンテンツがよりスムーズに楽しめるようになるので、英語学習のストレスが、より少なくなっていく時期かなと思います。
たとえばオーディオブックや海外ドラマを視聴しながら、「この単語知らないな」というところだけピックアップして調べてみるという感じ進めます。
【英語学習向き動画配信サービス】おすすめVOD3つを比較して紹介
【Audibleで英語を学ぶ】英語学習歴20年がメリットと作品の選びかたを紹介
ここで調べたものについては、自分がやりやすい方法で記録しておくのがおすすめです。
ルー

この記録は、そんなにインテンシブに復習をしなくても、気が向いた時に、定期的に見返してみるぐらいでOKです。
そもそもこの時点で知らない単語は、比較的、出てくる頻度が低い単語なので、次にまた出てきた時に復習するぐらいでもいいかもしれません。
アウトプット練習としては、シャドーイングは教材のレベルをあげて継続しつつ、より「自分で作文する」方向の練習も充実させていきましょう。
ゼロから英文を作る練習の比重を増やしつつ、英会話スクールなどの実践練習も定期的に取り入れていきましょう。
自分でゼロの場所から取り出してきて使う練習をすることで、「自分が使える言葉」として、ボキャブラリーが完璧に定着していきます。
以上、ボキャブラリーを増やす具体的な方法を、基本編と応用編に分けてご紹介しました。
まとめ:ボキャブラリーを増やして英語学習をさらに楽しもう!
以上、今回は、英語の語彙を増やすのがなぜ大切なのか、また、効率よく増やすためのポイントと具体的な方法をご紹介しました。
最後におさらいをしておくと、語彙を増やすのが大切な理由は以下のとおりです
- 1: 単語は言葉の最小構成要素だから
- 2: リーディング力だけでなくリスニング力も上がるから
- 3: したがって、その後のインプット学習の効果も上がるから
また、語彙を増やす方法としては、以下がポイントになります。
- 1: 基本単語から覚える
- 2: 音がわかる状態・イメージと結びついた状態で覚える
- 3: 単語単体だけでなく、文脈の中でも触れられる時間を作る
- 4: アウトプットで定着させる
普通に使われる語彙の中では知らない単語の方が少ないという状態になると、英語コンテンツが楽しみやすくなり、英語学習がさらに楽しくなると同時に、英語力のアップにも拍車がかかります。
ぜひ、ポイントを押さえた方法で、効率よくボキャブラリーを増やしていきましょう!
それでは今回はこのあたりで。最後までお読みいただきありがとうございました。